
14歳の私に大人っぽさを教えてくれたbird『bird』 — Koutaro Kai
自分が「どんな音楽を好きなのか」、手探りでいろんな音楽を聞いていた頃の話です。当時、私は14歳の中学2年生でした。
ヒップホップ少年に届いた R&B
多感な時期だった自分は、BUDDHA BRANDやDragon Ashといったジャパニーズ・ヒップホップが好きで、見よう見まねでラップを口ずさんだりして、韻を踏むというリズムがカッコいいと思っていた時期だったのだと思います。
そんなヒップホップばかりだった中学生の自分に、「R&Bってこんなにカッコいいのか」と、全く違うベクトルから衝撃を与えてくれたのが、birdの1stアルバム『bird』でした。ヒップホップとは全く違う、スローな流れのなかにある、洗練された大人っぽいクールさのようなものがそこにはあり、背伸びをしたい年頃の私に、大きな影響を与えてくれました。
アルバム『bird』の流れ — Intro から約束まで
このアルバムは、とにかくアルバム全体としての流れが美しいです。
1曲目の「Intro」を再生すると、静寂から徐々に熱を帯びていく流れが、まるでこれからライブが始まるかのような雰囲気に包まれます。「SOULS」や「空の瞳」といった名曲を経て、「deep breath」という1分間の曲で一息つく時間を作っているのも、私にとっては斬新でした。
そこからの「REALIZE feat. SUIKEN」。この流れが、このアルバムのハイライトです。
birdのソウルフルな歌声と、ラッパーのSUIKENを迎えたキレのある声色が交差するこの曲で、自分のヒップホップ熱と新しいR&Bの感覚が見事にリンクし、自分のなかのスウィートスポットを見つけた感覚がありました。
そして、そこから終盤に向かっていく流れです。最後の「約束」へと進むにつれて、昂った気持ちがだんだんと、とても自然体にフェードアウトしていきます。
決して無理に盛り上げ続けるのではなく、日常にスッと溶け込んでいくようなこの余韻こそが、アルバムを通して聴く最大の醍醐味だと思います。
1999年、CDを買うという行為
少し余談になりますが、このアルバムが出た1999年頃は、レンタルCDショップが隆盛を極め、MDが流行の時代でした。音楽は「借りてMDにダビングする」のが当たり前になりつつあり、アルバムを「買う」という行為自体が少しずつ減っていった過渡期だったと思います。
だからこそ、限られたお小遣いであえてCDを買うということは、「自分はこのアーティストのファンなんだ」と、自らのアイデンティティを確かめるような特別な作業でもありました。
新品のアルバムのフィルムを剥がし、ケースを開ける。中に入っている歌詞の書かれたブックレットを取り出した時の、あの少しツルッとした手触り。そして、インクと紙が混ざったような新しい匂いは、今でも忘れません。
今、スマートフォン越しにbirdの音を聴いても、あの14歳の時の匂いと手触りが鮮明に蘇ってきます。アルバムを味わうということは、単に音を聴くだけでなく、あの頃の空気ごと記憶に刻み込むことなのだと、大人になった今、改めて実感しています。
みうらじゅん夫婦と、私の青春
そして、いま改めてbirdさんのことを検索して知ったのですが、みうらじゅんさんと結婚されていたのですね。
同じく14歳のときに、サブカル文化というクールさを教えてくれたのも、彼の影響でした。
私の青春時代は、この夫婦に彩られていたのかもしれません。
編集後記
私はずっと、仲間を探し続ける人生だ。自分の会社をやっていたけれど、どうしても仲間と何かをやりたくて、55歳のときに考太郎さんの会社に応募した。すでに高齢だった私を、それでも招き入れてくれた。千葉・成田の拠点で、さまざまなシステムの仕事を任せてくれた日々は、私の人生に強く刻まれた一つの柱になっている。
応募のきっかけは、当時のホームページに飾られていた考太郎さんの食事中の一枚だった。それを見て「この人と働きたい」と思った。エネルギッシュで、いつも前を向いている。今も仲良くさせてもらい、お仕事もいただいている。
— Namio
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